小学生も高学年になると、反対の意味のことば、いわゆる対義語を学ぶようになります。物事の両面・両端を考えるきっかけになるとともに、一気に語彙を増やすチャンスを得られるとてもいい学びです。大学入試新制度を始め、記述式試験が主流となるこれからは、対義語を使いこなした文章をしたためることで、ライバルたちから一歩抜きんでることもできるかもしれませんね。

 割とよく知られているのが、「愛」の反対は?との問いに「憎しみ」と答えて、「ブー、正解は『無関心』」。そのココロは、愛も憎しみも相手へ強い感情を抱く点では同類語と言え、相手に対し何の感情も持ち合わせないのが「無関心」が対義語だということですね。同じ発想で、「笑い」の反対は「泣き」ではなく、「無表情」。泣いたり笑ったりと忙しい人の方が、いつもポーカーフェイスの人より他者から愛される感じがします。

 では、「成功」の反対は?「失敗」でしょうか?? いえ、違うでしょう。なぜなら、成功も失敗も何事かに挑戦したという点では、同じく讃えるべきことだからです。決断と実行の結果が事前の期待に沿ったか沿わなかったか異なるだけです。だとすると、「成功」の反対は「拱手(こうしゅ)」(事に当たって手をこまねいて見ているだけのこと)だと考えて良いと思います。

 さらに、一般的な辞書では「拙速(せっそく)」の反対は「巧遅(こうち)」とされています。確かに、タイミングを逃してしまったら元も子もないような場面では、まず実行することが優先されますね。知略を巡らしている間に「時すでに遅し。」となりかねません。ですが、やはり遅きといえど実行に移した点が評価されることもあるでしょう。とすれば、「拙速」「巧遅」は同類語で、それらの対義語は「停滞」「滞留(たいりゅう)」かもしれません。

 あとわずかで今年の入試の季節も終わります。エコル・ア・パンセの大学受験生たちはみな、本当に狭く険しい門に果敢に挑んでいます。大きな決断をしコツコツと地道に実行している今の姿こそ、尊く光り輝いています。その姿を日々眼にする後輩たちの心にも強く刻まれることでしょう。そして、その挑戦の結果が、自分の信じたものとなることを私は心から信じています。