この国は誰のもの

長い長い夏の間冷房だったエアコンのモードが、いきなり暖房に切り替わってしまった今週です。季節とは、徐々に進むのではなく、ガクッと断崖を墜ちるように移行するのですね。ご無沙汰してしまいましたが、皆さま、お健やかにお過ごしでしょうか。私などは寒暖差アレルギーがあるので、ティッシュペーパーの箱が手放せない状態です。季節の急激な移行も、気候変動危機の現れなのでしょうか。

まもなく、4年ぶりの衆議院総選挙があります。国際社会の中で日本の存在が薄まっていく中、途中わずかな期間の政権交代があるものの、長らく現与党の政権下にあるこの国です。その目指す方向性が適切かどうか、有権者は過去を振り返って審判を下し、未来に向かって信託をしなければなりません。

 この間、教育関連で言えば、大学入試共通試験制度をめぐり紆余曲折があり、コロナ禍で2度の一斉休校があり、教育指導要領の変更で学習内容の増大がありました。現場感覚で言えば、子供たち・若者たちの心理に強いマイナスの影響があったこの2、3年だったと思います。不登校者が過去最多レベルになってしまったのも、ある意味必然の成り行きだと言えるでしょう。時代が悪かったから、では済まされない深刻な問題です。

 では、どうしたら、子供たちに希望の持てる世の中にしてあげられるのでしょう。私は、東大や医学科を目指す単一ルート的な「偏差値史上教育」は、もう行き詰まっていると思います。中学受験でいえば4教科、高校・大学受験でいえば5教科(情報が教科として加わりそうですが)が良くできるからと言って、変貌著しい地球社会で貢献できるとは限りません。それには、社会の一員としての倫理感、粘り強い探究心、打たれ強い精神力、多様性を尊重する価値観など、学業では測れない資質が必要だからです。大人が商業ベースでおためごかしに子供たちを振り回すのは、もうおしまいにしたいです。まずは、経済格差問題、地球環境問題、資源問題などへ真摯に取り組もうとする大人の姿を子供たち・若者たちに見せてあげられるような、投票行動をしなくては、と考えています。

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