9月入学への気運を高めよう

 全国規模の外出自粛が続く中、医療機関のみならず保育所でも感染が広まってきました。名古屋市でもクラスター化しつつある市立保育園があるようです。学校の休校期間もどんどん長引き、貴重な子ども時代の学びの時間が失われていくのが何よりも心配です。また、高校・大学受験生たちは、学びの機会だけでなく模擬試験など力を試す機会まで奪われ、その苦しい胸の中をうかがい知ることはできません。

 とはいえ、焦りは禁物です。1年間のカリキュラムを年度内に残された期間で終わらせようという無謀な発想を転換し、日本の長年の懸案だった9月入学の実現への千載一遇のチャンスが到来したと考えれば、関係各所で対策をしっかり思考する余裕も生まれるでしょう。

 もともと、積雪やインフルエンザ流行が懸念される厳寒期に大掛かりな入学試験を実施する方が無理があるというもの。6月〜7月へ一連の入学試験を繰り下げれば、現在の受験生や教員のみなさんにも焦る気持ちが減るでしょう。

 あり方が二転三転した新共通試験が未整備であること、オリンピック延期で文科省も手一杯ではという懸念があること、など今年の特段の事情から、9月入試への移行を受け入れやすい土壌ができているといえるのではないでしょうか。オリンピックですら1年延期できるなら、国内の入学試験や学制を5ヶ月繰り下げるぐらいのこと、できない方が不思議です。