巨船 ついに動きはじめる!

他の都道府県から遅れること20余年、愛知県で公立中高一貫校設置の動きが加速中です。現・小4生が進学する2025年に4校、翌26年に6校に中学が併設されます。動かざること山の如し、だった愛知県の公教育。あたかも巨大タンカーが周囲の状況を見極めて後、やむなく方向転換するかのように、長い空白期間の末の始動です。ともあれ、公立高王国とも呼ばれ、ある意味「ぬるく」やってきた愛知県も時勢には逆らえず、小学生を対象とする選抜試験を始めることは事実です。学校教育においても家庭教育においても選択肢が増えたという意味では評価できる一方で、判断力の乏しい子ども時代に針路を定める傾向が強まることには危惧の念も拭えません。何にせよ、県内のご家庭では期待と不安が今まで以上に高まっておられることでしょう。
 私立中学入試と異なり、公立中高一貫校適正検査の建前では小学校で学ぶ以上の知識は問わないとされます。しかし、他府県の過去問題を見る限り、時事ニュースなどを含めた幅広い知識をベースに持たない子や情報処理が遅い子が対応できる問題ではありません。もちろん、単なる知識の詰め込みでは歯が立ちません。そうなると、知的好奇心や探究心を大切にしつつ、長文や図表の読解力・思考力・意見表明力などを要する高度な課題を処理できるまで、子どもの自律性を損なわずどのように導くのか、大人の対応の真価が問われる時代にもなったといえるでしょう。
 

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