男女平等政治へ待ったなしの改革を

 この度、候補者男女均等法(政治分野における男女共同参画推進法)が成立しました。「日本版パリテ法」とも呼ばれる本法の成立・施行により、各政党は国政選挙や地方議会選挙において、候補者数を男女均等にする努力が求められることとなりました。ここに至る背景として、形式的男女平等の建前に沿っている限りは女性の政治参加の程度において諸外国との落差が広がる一方であり、まさに百年河清を俟つに等しいこの72年間の変わらない政治状況がありました。女性「不」活躍社会としての不名誉な国際的地位に対する若い世代の危機感が本法成立の後押しをしたと思います。もっとも、各政党へは拘束力がない努力目標に留まる点でその実効性には疑問符もつきます。しかしながら、努力を怠っている政党についてはその旧態依然とした体質が可視化されることで、長期的には大衆の、殊に女性の支持を失っていく恐れもありますから、女性の政治参加をこれまでにない形で促す嚆矢となると期待することはできます。

 財務省トップのセクハラ疑惑を見るように、日本の男性中心社会では女性を対等の存在とは見ない風潮が一向に払拭されません。この風潮は、国のあり方に最も影響力のある国政政治において最も顕著であり、結果的に少子化を助長させる最大要因となっているともいえます。もちろん、本法が機能するには立候補しようとする女性の存在が不可欠である以上、主権者たる国民が傍観者でいられるはずはありません。全国民の本気度が問われています。したがって、子ども達への有権者教育の重要性もますます増大したといえます。教育に携わるものとして、まず自分自身が社会の構成員としての責務をしっかり自覚しなければ、と気持ちもいよいよ引き締まります。

前の記事

本を置いて史跡探訪

次の記事

昭和女子たちが逝ってしまった