感染症と闘ってきた先人たち
2021年の1月も、気づけばもう半分が過ぎようとしています。愛知県下にも緊急事態宣言が発出されるなど、新型コロナウイルス感染症の脅威はとどまることを知らないようです。出口の見えない暗いトンネルを進んでいるかのような不安感にさいなまれます。
今日1月14日は、ノーベル平和賞受賞者のアルベルト・シュバイツァー博士の生誕146年の日にあたります。神学者・哲学者であったシュバイツァー博士が熱帯の風土病に苦しむアフリカの人々を助けようと、医師となる決意をしたのは30歳のときでした。ピアノやオルガンの演奏家としても名を馳せていた博士は、時折アフリカからヨーロッパへ戻っては演奏会や講演で報酬を得て、アフリカの病院を建てる資金を集めていたそうです。医師であって戦争捕虜とされた経験もある博士の貢献が、ノーベル平和賞という形として評価されたことに深い意味を感じます。
シュバイツァー博士が10代の頃、北里柴三郎博士が破傷風血清療法を発見し、20代の頃、北里博士がペスト菌を、志賀潔博士が赤痢菌を発見しています。それらの成果は、もちろんシュバイツァー博士のアフリカでの診療に不可欠だったに違いありません。
現在、世界中で新型コロナウイルスのワクチンの開発・接種が急がれています。感染症に対する先人たちの血のにじむような努力がこれまで幾度となく人類を救ってきました。今のこの瞬間にも、たくさんの科学者が全身全霊でウイルスとの闘いを続けてくれています。希望の光を与えてくれています。私たちが、暗いトンネルから脱し親しい人たちと心の底から笑いあえる日は、そんなに遠くはないと信じます。