【予測困難な時代だから】

 世界中を揺るがした米国次期大統領選挙から一週間が経とうとしています。過激な差別主義者と思わせる候補者が圧倒的勝利をもぎ取ったことから、民主主義の劣化とも新自由主義の終焉だともあれこれ評される中、日本の各種メディアが一夜でトランプ氏への態度を「敵視」から「擦り寄り」へと180度反転させてしまったかのように感じるのは私だけではないかもしれません。勝てば官軍とは言い得て妙だと感心します。

 それにしても、ブレグジットにせよ今回の選挙結果にせよ、予測困難な事態を引き起こすのは、もはや従来のマスメディアではなく、SNSを始めとするインターネットメディアであるとするのはおおかた誤りではないでしょう。こうなると、「ネイティブスマホ」時代の子どもたちに対し、どのようなメディアリテラシーをどのような方法で身につけさせることが必要なのか、旧来の教科学習の枠を超えた義務教育再編成のパラダイムシフトが急務であると痛感します。

 ネット上に跋扈する、感情を煽る言論や反知性主義的言説に対し、どう理性的に立ち向かっていけるのか、人間は理性でななく感情で動く動物であるがゆえに、その難しさは想像を絶します。ただ、幼い頃は、英語などの英才教育よりも、自分の感情の波を統御したり他人の感情の波に上手く乗るような、言葉と情緒のトレーニングを優先させる方が、結局は知性を備えた大人になれるような気がします。

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