男たちよ、しっかりしてくれ!

ゴールデンウィークも終わってしまった上、今年度最初の定期試験が近づき、中学生たちのどの顔にも「憂鬱」の文字ステッカーが貼ってあるかのような今週、東京発の衝撃的な事件のニュースが3つ飛び込んできました。

 一つは、公立中学校の36歳男性教諭が殺人事件の被疑者として逮捕されたというもの。被疑者段階では真偽のほどはわからないですが、報道により徐々に明らかになった経緯は、同教諭にはFX投資などによる借金が数百万円あり、空き巣狙いで侵入した民家で住人と鉢合わせしてしまい、咄嗟に刃物で滅多刺ししたのではないかとのことです。安定した収入のある学校教員が投資をするということ自体、珍しくもなんともありませんが、運用の失敗でできた借金を窃盗で埋め合わせようと考えたり、窃盗中に居直り強盗に豹変してしまったり、ということであれば、聖職にある者でなくてもあり得ない、あまりの幼稚さ、残忍さです。ましてや、精神的に揺れやすい中学生の担任教師であったとは、絶句するしかありません。

 また一つは、成人間で何かトラブルがあり、ブチ切れた61歳の男がトラブル相手の自宅へ押しかけ、居合わせた中学1年生を刺して大怪我を負わせたというもの。こちらは現行犯逮捕で、真犯人であることは間違いなさそうですが、続報に乏しく詳しい経緯は不明です。何があったにせよ、なぜ無関係の子どもを刺すことができるのか、その精神状態を想像することすらできません。

 さらに、人通りの多い銀座で営業中の高級時計店を襲った強盗団が、計画性を微塵も感じられない杜撰な逃走劇の末あっけなく捕まりました。高校生を含む16歳から19歳の少年らが、遊ぶ金欲しさの「闇バイト」気分で実行した犯行だったのでは、と報道されています。こんな同情の余地のない悪質な事件に16歳までも加わっている点は、金銭本位の大人社会の退廃ぶりを象徴しているとしか思えません。

 どの事件も、呆れるを通り越して人の心の愚かさに寒々しい思いがしますが、あまりにもショッキングな事件ばかりですから、被害中学生や担任されていた中学生たちを始め、数多くの青少年の心に深い傷をつけたのは間違いないと思います。「異次元の少子化」が加速するこの国の首都で起きた、これらの事件。未来の国の柱となる子どもたちを、大人が心して大切に大切に育てなくてはならないのに、何なんだ、男たちのこのお粗末さは!と怒りを抑えられません。大人のひとりとして、子どもたちに顔向けができない気持ちさえ湧いてきます。
 この国はいったいどこで何を間違えてきて今の姿なのでしょう。国の将来を深く憂えずにはいられません。しっかりしてくれ、男たちよ!