自然災害と危機管理

 国内の高齢者を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種が始まっています。同時に、地方自治体の首長を始め、優先的に接種を受ける人たちの存在も明らかになってきました。マスコミが取り上げ、「不公平だ」「上級国民の特権だ」などと非難の声もあがっているようです。

 ワクチンをめぐる国の対応は、諸外国と比べて数段劣っていることは客観的に見て事実だと思います。それに対する国民的腹立ちが、優先接種を受けようとした人たちへ向かったとしても心情的に理解できます。とはいえ、優先接種しようとした人たちを十把一絡げに批判するのも、どうかと思います。

 プライオリティを考えれば、絶対量の少ないワクチンを無駄にしないこと、医療職を始め公益性や感染リスクの高い業務従事者を優先すること、ではないでしょうか。そうだとすると、地方自治体の首長は、公益性は言うに及ばず、感染対策の陣頭指揮者でもありますから、危機管理の面からも優先接種しておくことは、感染休職による混乱を防ぐ意味でも大変重要かと思います。ましてや、自然災害の危険の高まっている日本列島、いつどこが被災地になっても不思議ではありません。現に今日、痛ましくも昨年に続き熊本県球磨地方に水害が発生しています。日本中どこでも避難所がクラスター発生地になる恐れもあります。であれば、緊急対応に欠かせない首長始め各部署の責任者ぐらいまではさっさと接種を済ませておいてほしいと願うのは、おかしなことでしょうか。公平ももちろん大事ですが、危機管理がより大事な局面ではないかと考えます。

 瑣末なことにかかわっている間に、様々な危険が忍び寄っていることを見落としたら大変です。

 子どもたちの大好きなことわざカルタから。

   行政責任者への優先接種は 「背に腹は代えられぬ」「備えあれば憂いなし」